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インドでの採用と給与の基本:採用チャネル、CTC構成、法定給付、外部委託

インド進出ナビ編集部(監修:Romy) · 最終確認日:2026年10月23日 · 読了 約9分

インド子会社で現地スタッフを採用・処遇するための基礎知識です。採用チャネル、CTCの組み立て方、PF・ESI・グラチュイティなどの法定給付、試用・通知期間の慣行、給与計算の外部委託までを人事・経理担当者向けに整理します。

このガイドでわかること

  • 現地スタッフを集める主な採用チャネルと使い分け
  • インド特有の給与表示「CTC」の中身と、労働法典施行後の設計の考え方
  • 雇用主が負担する法定給付(PF、ESI、グラチュイティ、賞与、休暇)の概要
  • 給与計算の外部委託とEOR(Employer of Record)の位置づけ

採用チャネル

チャネル 向いている職種 特徴
求人サイト(Naukri、LinkedIn等) 事務・営業・エンジニア 母集団が大きく、書類選考の負荷が高い
人材紹介会社 管理職・日本語人材 成功報酬型が中心。日系向けの紹介会社もある
キャンパス採用 新卒エンジニア・技術職 工科大学などで時期が集中する
社員紹介 全般 定着率が高い傾向。紹介報酬の規程を作る
日本語学校・日本留学経験者 通訳・日本語対応職 人数が限られ、給与水準が上がりやすい

採用時は経歴・学歴の確認(バックグラウンドチェック)を外部業者に依頼する企業が多く見られます。内定後に他社の条件を提示して交渉する候補者もいるため、入社日まで連絡を絶やさないことが大切です。

CTCの構成例

CTCは次のような要素で構成されます。比率は企業・業種によって異なり、以下は考え方の例です。

構成要素 内容 設計上の注意
基本給(Basic) 社会保障・グラチュイティの算定基礎 労働法典の50%ルールを満たす水準にする
住宅手当(HRA) 賃貸住宅に住む従業員の所得税軽減に関係 旧税制を選んだ従業員にのみ節税効果
特別手当など 調整用の手当 手当合計が50%を超えないか確認
雇用主PF拠出 基本給等の12% CTCに含めるかを雇用契約で明確にする
グラチュイティ引当 退職時一時金の積立相当 CTC表示に含める会社が多い
変動賞与 業績連動 年1回の業績賞与は「賃金」に含まれない

労働法典の賃金定義の詳細は4つの労働法典で変わることを参照してください。

法定給付の一覧

制度 適用 負担(2026年10月時点)
EPF/EPS 20人以上の事業所。賃金月2万5,000ルピー以下は強制加入 従業員12%、雇用主12%(うち8.33%を年金EPSへ、上限は月2万5,000ルピーまでの賃金)
ESI 原則10人以上の事業所、月額賃金2万1,000ルピー以下の従業員 雇用主3.25%、従業員0.75%
グラチュイティ 退職・離職時の一時金 勤続1年につき15日分の賃金。正社員は原則5年勤続、固定期間雇用は1年で対象
法定賞与 一定賃金以下の従業員 法定の最低率と上限率の範囲で支給
有給休暇 年間の就労日数に応じて付与 州の店舗・事業所法でも日数が定められる
出産給付 女性従業員 法定の休業期間と、一定規模以上での託児所または手当

外国籍社員は「国際労働者(International Worker)」として、賃金上限なしで給与全額にPFがかかります。日本からの駐在員は、日印社会保障協定の適用証明書があれば加入が免除されます。詳しくは日印社会保障協定と適用証明書を参照してください。

試用期間と通知期間の慣行

  • 試用期間は3〜6か月とする例が多く、延長の条件も雇用契約に書いておきます。
  • 退職時の通知期間は、一般職で1か月、管理職やエンジニアで2〜3か月とする慣行が広く見られます。
  • 通知期間中の引き継ぎ、未消化休暇の精算、通知期間の買い取り(buy-out)の可否を就業規則で決めておくと、紛争を減らせます。

いずれも法定ではなく慣行のため、業界水準を人材紹介会社などで確認してから決めましょう。

Professional Tax(職業税)

一部の州が給与所得者に課す州税で、雇用主が給与から控除して州に納めます。マハーラーシュトラ州、カルナータカ州、タミル・ナードゥ州などで課税され、デリーのように課税しない地域もあります。税額は州ごとに月額・半期額で決まり、憲法上の年額上限があります。拠点州ごとに雇用主登録が必要です。

給与支払と源泉徴収

  • 給与からの所得税源泉徴収(TDS)は雇用主の義務で、四半期ごとに申告書を提出します。手順はTDS(源泉徴収)ガイドを参照してください。
  • IT・ITES業種は、労働法典で翌月7日までの賃金支払が求められています。
  • 残業手当は通常賃金の2倍が原則です。

給与計算の外部委託とEOR

方式 内容 向いている場面
給与計算の外部委託 子会社が雇用主のまま、計算・申告・支払を業者が代行 子会社設立後、人事担当が少ない時期
EOR(雇用代行) 現地業者が法的な雇用主となり、実際の業務指示は日本側 法人設立前の市場調査、少人数の先行採用

EORは早く始められる一方、恒久的施設(PE)の認定リスクや、業務範囲の制約があります。継続的な事業を行うなら、子会社設立とあわせて検討してください。進出形態の比較は進出形態の選び方にまとめています。

よくある失敗・注意点

  • CTCと手取りの差を説明せず、入社後に不満が出る
  • 20人を超えた時点でのEPF登録、10人を超えた時点でのESI登録を忘れる
  • 2026年9月のPF賃金上限引き上げで新たに対象となった従業員の加入手続きが漏れる
  • 州ごとの職業税・労働福祉基金の登録を見落とす

次にやること

個別の判断は専門家(CA・弁護士・税理士)にご確認ください。

このテーマのよくある質問

インドの新しい労働法(Labour Codes)はいつから施行されていますか?

賃金法典、労使関係法典、社会保障法典、労働安全衛生・労働条件法典の4つの法典が、2025年11月21日に全国で施行されました(2026年10月時点)。賃金の統一定義により、退職一時金や社会保険の計算基礎が変わる可能性があります。州ごとの施行規則は整備途上の部分があるため、拠点州の動向を確認してください。

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インドで従業員を雇う際に必要な社会保険は?

主なものは、従業員積立基金(EPF)と、一定の賃金水準以下の従業員が対象の従業員国家保険(ESI)です。このほか、州によっては職業税の天引き・納付や、労働福祉基金への拠出が必要です。適用要件や料率は改定されることがあるため、EPFOとESICの最新情報で確認してください。

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退職一時金(Gratuity)はどのような場合に支払う必要がありますか?

社会保障法典により、通常の従業員は勤続5年以上、有期雇用の従業員は勤続1年以上で退職時に受給資格が生じます(2026年10月時点)。金額は原則として勤続1年あたり賃金15日分で計算します。新しい賃金定義で計算基礎が増える場合があるため、引当額を見直してください。

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