日本人駐在員のビザと外国人登録:e-Businessビザ・商用ビザ・雇用ビザとe-FRRO
インドに出張・赴任する日本人のビザの選び方を整理します。e-Businessビザ・商用ビザ・雇用ビザの使い分け、雇用ビザの年収要件、入国後の外国人登録(e-FRRO)の期限、家族のビザ、出張者の業務範囲の注意点を人事・総務担当者向けにまとめます。
このガイドでわかること
- 出張・赴任の目的に応じたビザの選び方
- 雇用ビザの年収要件と申請時に準備する書類
- 入国後の外国人登録(FRRO)の要否と期限
- 帯同家族のビザと、出張者が注意すべき業務範囲
3つのビザの使い分け
| 項目 | e-Businessビザ | 商用ビザ(紙・大使館申請) | 雇用ビザ |
|---|---|---|---|
| 主な目的 | 商談、視察、会議、市場調査 | 同左、拠点設立準備、買付け | インド法人等での就労 |
| 有効期間 | ETA許可から1年 | 最長5年・数次(在京インド大使館の案内、2026年10月時点) | 最長5年または契約期間 |
| 1回の滞在 | 連続180日以内 | 180日以内 | 制限なし(登録が必要) |
| 申請先 | オンライン(入国の4日前〜120日前) | 在日インド大使館・領事館 | 在日インド大使館・領事館 |
| 外国人登録 | 180日以内なら不要 | 180日以内なら不要 | 必要(入国後14日以内) |
e-Visaは指定された空港・海港からの入国に限られます。e-Visaでの就労やNGO・報道活動は認められていません。商用ビザの有効期間は在京インド大使館とジェトロで案内に差があるため、申請時に大使館で確認してください。
雇用ビザの要件と申請書類
年収要件
申請者は熟練した専門職・技術者であり、年間2万5,000米ドル以上の報酬が見込まれることが求められます。現金で支払われる給与・手当が対象で、課税給与に含まれる社宅などの現物給付も算入できる場合があります。雇用契約書では現金給与と手当を分けて記載し、現物給付は内容と金額を明記しておくと審査がスムーズです。
主な準備書類(例)
- 申請書(オンラインで作成し印刷・署名)と写真
- 残存6か月以上で空白ページのあるパスポート
- インドの受入企業との雇用契約書または任命状
- 受入企業の登記書類、招へい状
- 学歴・職歴を示す書類
- 日本の派遣元企業の推薦状(出向の場合)
書類の最新リストは在日インド大使館・領事館や申請受付センターの案内で必ず確認してください。在京大使館では、日本人の商用ビザは3営業日程度で処理されると案内されています(2026年10月時点)。
雇用主の変更
雇用ビザの期間中に雇用主を変えることは原則としてできません。持株会社と子会社の間など、一定の場合のみ認められる余地があります。
入国後の外国人登録(e-FRRO)
2025年規則では、登録官に対し入国後14日以内に申請することが原則とされています。オンラインのe-FRRO(indianfrro.gov.in)または政府のモバイルアプリで手続きします。
| ケース | 登録の要否 |
|---|---|
| 滞在180日以内のビザで、180日を超えて滞在しない | 不要 |
| 1回の滞在180日以内の数次ビザで、暦年の合計が180日以内 | 不要 |
| 雇用ビザなど180日超の滞在を前提とするビザ | 入国後14日以内に登録 |
| 12歳未満の子ども | 不要 |
なお、2026年6月1日告示の改正規則(Immigration and Foreigners (Amendment) Rules, 2026)により、1回の滞在が180日以内とされるビザで180日を超えて滞在したい場合は、従来の「180日経過後14日以内」ではなく、180日が経過する前に登録を申請する扱いに改められ、認められるのも緊急の事情がある場合に限られるとされています(2026年10月時点)。
登録後も、住所変更、8週間以上の不在、ビザ延長、出国許可などはe-FRROで手続きします。延長はビザ失効の2週間前までに申請することが求められます。登録が遅れると500〜2万ルピーの罰金が科される場合がある、とジェトロは案内しています。
なお、ホテルなどの宿泊施設は外国人の到着から24時間以内に当局へ報告する義務があります。社宅やサービスアパートメントを手配する場合は、運営者が報告を行うか確認しましょう。
家族のビザ
雇用ビザ保持者の配偶者・子どもには、本人と同じ期間有効な帯同ビザ(Xビザ)が発給されます。帯同家族も、12歳以上であれば外国人登録が必要です。インドで子どもが生まれた場合は、30日以内に電子的に届け出ます。
出張者の注意点(業務範囲)
- 商用・e-Businessビザで認められるのは、商談・会議・視察・技術的な打ち合わせなど「事業のための訪問」です。インド法人の業務を継続的に行う、現地で給与を受け取る、といった就労にあたる活動はできません。
- 工場立ち上げの長期指導やプロジェクトでの常駐作業は、雇用ビザなど適切なビザが必要か事前に確認してください。
- 違反すると、ビザ条件違反として最長3年の禁錮または30万ルピー以下の罰金などの対象になり得ます。招へいした企業側も、記録の保存や当局への情報提供を求められます。
- 出張日数が増えると、インドでの課税や恒久的施設(PE)の問題も生じます。駐在員の個人所得税と生活の基本も確認してください。
よくある失敗・注意点
- 商用ビザで入国してから駐在に切り替えようとして、一時帰国が必要になる
- 14日以内の登録を忘れ、罰金や出国時の手続き遅延が発生する
- 雇用契約書の年収表示が要件を満たしているか分かりにくく、審査が長引く
- 延長申請を失効直前に行い、在留期限が切れる
次にやること
- 社会保険の二重加入を防ぐ:日印社会保障協定と適用証明書
- 税金と生活の準備:駐在員の個人所得税と生活の基本
- 受入法人の設立:子会社設立の手順
- 全体の段取り:インド進出の全体ロードマップ
個別の判断は専門家(CA・弁護士・税理士)にご確認ください。
このテーマのよくある質問
日本人を何人まで雇用(駐在)させることができますか?
インドの法令で、会社ごとの外国人雇用人数の一律の上限は定められていません(2026年10月時点)。ただし、就労ビザは熟練人材向けで原則として年収2万5,000米ドル超が要件とされ、インド人で代替できる一般的な職務には発給されにくい運用です。人数よりも、各人の職務内容と給与水準が審査のポイントになります。
日本からの出張者にはどのビザが必要ですか?
商談、会議、工場視察などの短期出張なら、商用ビザまたは電子商用ビザ(e-Business Visa)が一般的です。e-Business Visaは許可日から365日間有効な数次ビザで、1回の滞在は連続180日以内です(2026年10月時点)。インドで雇用されて報酬を受ける活動は認められないため、作業や据付の内容によっては別のビザ区分を確認してください。
駐在員の就労ビザの要件は?
就労ビザは熟練人材向けで、原則として年収2万5,000米ドル超(給与・手当や課税対象となる一部の現物給与を含む)が要件です(2026年10月時点)。初回の有効期間は原則1年以内で、インド国内で延長できます。商用ビザからインド国内で切り替えることはできないため、赴任前に日本で申請してください。