インド子会社の年間コンプライアンス・カレンダー(会社法・税務・GST・外為法・労務)
4月〜3月の会計年度に沿って、インド子会社が毎月・毎年行う届出と納付の期限を月別の表にまとめました。2026年4月施行の新所得税法と、DIR-3 KYCの3年ごとへの変更も反映しています。管理部門・本社の子会社管理担当者向けです。
このガイドでわかること
- 会計年度(4月〜3月)に沿った、会社法・所得税・GST・外為法・労務の年間スケジュール
- 毎月必ず来る期限と、年1回の期限の一覧
- 2026年に変わった点(新所得税法の施行、DIR-3 KYCの頻度変更など)
新所得税法で変わった様式番号(主なもの)
| 旧様式(1961年法) | 新様式(2025年法) | 内容 |
|---|---|---|
| 3CA/3CB・3CD | Form 26 | 税務監査報告 |
| 3CEB | Form 48 | 移転価格の会計士報告 |
| 15CA | Form 145 | 海外送金の申告 |
| 15CB | Form 146 | 海外送金の会計士証明 |
| 24Q | Form 138 | 給与のTDS四半期報告 |
| 26Q | Form 140 | 給与以外のTDS四半期報告(居住者) |
| 27Q | Form 144 | 非居住者への支払のTDS四半期報告 |
| 10F | Form 41 | 租税条約適用のための情報提供 |
新様式は2026年4月1日以降に始まる課税年度から使われます。過年度分は旧様式のままです。
毎月の手続き
| 期限 | 手続き | 区分 |
|---|---|---|
| 翌月7日 | TDS・TCSの納付(3月分は4月30日) | 所得税 |
| 翌月11日 | GSTR-1(売上明細)。四半期申告制度(QRMP)の会社は四半期ごと | GST |
| 翌月15日 | EPF・ESIC保険料の納付と月次報告 | 労務 |
| 翌月20日 | GSTR-3B(納税申告と納付) | GST |
| 州ごとの期限 | 職業税(Professional Tax)の納付 | 州税 |
| 給与支払日 | 賃金の期日払い(労働法典) | 労務 |
月別カレンダー
| 月 | 主な期限 | 内容 |
|---|---|---|
| 4月 | 4月30日 | 3月分TDSの納付。MSME-1(10〜3月分、零細・小企業への45日超の未払がある場合) |
| 5月 | 5月31日 | 1〜3月期のTDS四半期報告 |
| 6月 | 6月15日 | 前払税 第1回(年税額の15%) |
| 6月30日 | DPT-3(預り金・借入の年次報告)。DIR-3 KYC(該当年度のみ) | |
| 7月 | 7月15日 | FLA(外国資産負債報告、RBIのFLAIRポータル) |
| 7月31日 | 4〜6月期のTDS四半期報告 | |
| 8月 | — | 監査の実施、決算確定、定時株主総会の準備 |
| 9月 | 9月15日 | 前払税 第2回(累計45%) |
| 9月30日 | 定時株主総会の開催期限。税務監査報告(FY2025-26分は10月21日に延長) | |
| 10月 | 10月30日頃 | AOC-4(財務諸表、株主総会後30日以内) |
| 10月31日 | 移転価格報告(FY2025-26分は旧様式3CEB、2026年4月以降の課税年度分はForm 48)。監査対象会社の法人税申告(FY2025-26分は11月21日に延長)。7〜9月期のTDS四半期報告。MSME-1(4〜9月分) | |
| 11月 | 11月29日頃 | MGT-7(年次報告、株主総会後60日以内) |
| 11月30日 | 移転価格対象会社の法人税申告 | |
| 12月 | 12月15日 | 前払税 第3回(累計75%) |
| 12月31日 | GSTR-9(GST年次申告)、GSTR-9C(照合書、売上5億ルピー超) | |
| 1月 | 1月31日 | 10〜12月期のTDS四半期報告 |
| 2月 | — | 翌年度予算の確定、移転価格の期中見直し |
| 3月 | 3月15日 | 前払税 第4回(累計100%) |
| 3月31日 | 会計年度末。棚卸・残高確認の準備 |
株主総会を9月30日より前に開けば、AOC-4とMGT-7の期限も前倒しになります。
会社法(ROC)の年次手続き
- 定時株主総会:会計年度末から6か月以内(通常9月30日まで)。初年度は最初の会計年度末から9か月以内です。
- AOC-4:監査済み財務諸表を株主総会後30日以内に提出します。
- MGT-7(小規模会社はMGT-7A):年次報告を株主総会後60日以内に提出します。
- 取締役会:年4回以上、間隔120日以内が原則です(小規模会社は年2回)。
- DPT-3:3月31日現在の預り金・借入の状況を6月30日までに報告します。
- DIR-3 KYC:3会計年度ごとに6月30日までに提出します。2025年度中に提出済みの取締役は、次回は2028年4〜6月が目安です。連絡先や住所を変更した場合は、変更から30日以内に更新します。
税務の年次手続き
- 前払税:見込み年税額を4回に分けて納付します。不足すると利息が発生します。
- 税務監査:一定の売上を超える会社が対象です。法定監査と別に、税務監査報告(Form 26、旧3CD)が必要です。
- 移転価格:日本の親会社との取引がある会社は、毎年Form 48(旧3CEB)を提出し、移転価格文書を整備します。詳しくは移転価格の基本を参照してください。
よくある失敗・注意点
- 株主総会の日程が遅れ、AOC-4・MGT-7の期限が連鎖して遅れる。ROCへの提出遅延には日数に応じた追加手数料がかかります。
- 前払税の見込みを過小に置き、利息を負担する。
- 新所得税法の施行後、旧様式番号のまま社内マニュアルや送金手続きを運用する。
- FLAを「新規投資がない年は不要」と誤解する。出資残高がある限り毎年必要です。
- GSTの月次申告と帳簿の不一致を年次(GSTR-9)まで放置する。
次にやること
- 設立直後の会社は、まず設立後3か月の必須手続きを完了させてください。
- GSTの詳細はGSTの基本、税務全般は日印の税務の基本、労務の月次手続きは労働法典ガイドを参照してください。
個別の判断は専門家(CA・弁護士・税理士)にご確認ください。
Questions on this topic
設立後すぐにやるべき手続きは何ですか?
銀行口座の開設と資本金の払込み、FC-GPRの提出、法定監査人の選任、取締役会の開催、GST登録(必要な場合)、州の店舗・事業所法の登録などが代表的です。従業員を雇う場合は、EPF・ESI・職業税の登録も必要になります。期限のある手続きが多いため、チェックリストで管理してください。
インドの会計年度はいつからいつまでですか?日本の決算期に合わせられますか?
インドの会計年度は原則として4月1日から翌年3月31日までです。会社法上、外国の親会社の連結決算のために別の会計年度を採用する場合は審判所の承認が必要で、所得税は会計年度に関係なく4月〜3月の年度で申告します。3月決算の日本企業であればそのまま揃います。
子会社の年間の主なコンプライアンスは何ですか?
会社法では定時株主総会(AGM)の開催と、財務諸表(AOC-4)・年次報告書(MGT-7)のROCへの提出が必要です。税務では法人税申告、移転価格報告、TDSの四半期明細、GSTの月次・年次申告があり、外資企業はRBIへのFLA報告(毎年7月15日期限)も必要です(2026年10月時点)。