インドでのEC販売と外資規制:マーケットプレイス型と在庫型、Amazon・Flipkart出品、D2C、クイックコマース、ONDC
外国直接投資(FDI)規制のもとで日系企業がインドのEC市場で販売する方法を、マーケットプレイス型と在庫型の違い、2026年の輸出向け緩和、出品・D2C・ONDCの選択肢に分けて整理します。EC・マーケティング担当向けです。
このガイドでわかること
- ECにおける「マーケットプレイス型」と「在庫型」の違いと、外資系企業への制約
- 2026年7月の輸出向け在庫型の緩和の内容
- Amazon・Flipkartへの出品、自社サイト(D2C)、クイックコマース、ONDCの使い分け
マーケットプレイス型と在庫型
| 項目 | マーケットプレイス型 | 在庫型 |
|---|---|---|
| 仕組み | 売り手と買い手をつなぐプラットフォームを提供 | 運営者が在庫を所有し、消費者に直接販売 |
| FDI | 自動承認ルートで100%可 | 国内B2Cは不可(輸出向けは2026年に緩和) |
| 代表例 | Amazon.in、Flipkartのマーケットプレイス | 輸出向け越境EC(緩和後) |
Press Note 2(2018年、2019年2月1日施行)は、マーケットプレイス運営者に次の条件を課しています。
- 運営者やグループ会社が出資する売り手は、そのマーケットプレイスで販売できない
- 売り手の仕入の25%超が運営者やグループ会社からの場合、在庫を支配しているとみなす
- 特定の売り手に独占販売を求めてはならない
- 物流・決済・広告などのサービスは、すべての売り手に公平・無差別な条件で提供する
- 毎年9月30日までに、法定監査人の報告書付きで前年度の遵守証明をインド準備銀行(RBI)に提出する
2026年の輸出向け緩和
- 内容:FDIを受け入れたEC事業者が、インドで製造・生産された商品を輸出するためだけに在庫を持つことが認められました。
- 条件:外国貿易政策、手続ハンドブック、FEMAの輸出規則に従う必要があります。
- 影響:国内消費者向けの在庫型禁止は変わりません。インドで生産した商品を海外向けに販売する日系企業には、越境ECの選択肢が広がります。
販売方法の選択肢
- マーケットプレイスへの出品:インド子会社または現地の輸入・販売パートナーが、GST登録を行い売り手として出品します。BIS認証が必要な製品は登録番号を求められます(BIS認証(QCO)が必要か調べる)。商品ページの不正出品対策として、商標登録とブランド登録制度の利用が有効です(インドでの商標登録)。
- 自社サイト(D2C):外資の場合、単一ブランド小売の条件を満たす必要があります。決済、物流、返品、顧客データの扱いを自社で設計します。
- クイックコマース:Blinkit、Swiggy Instamart、Zeptoなど、都市部で短時間配達を行うサービスです。多くは自社ブランドとして直接取引するのではなく、プラットフォーム上の販売者やディストリビューターを通じて商品を供給します。
- ONDC:政府主導のオープンなEC網で、売り手アプリを通じて複数の買い手アプリに商品を表示できます。特定のプラットフォームへの依存を減らす手段として検討できます。
よくある失敗・注意点
- インドの消費者向けに外資の事業体が在庫を持って直接販売する。 現行のFDI規制に抵触するおそれがあります。
- マーケットプレイス運営者と出資関係のある売り手を使う。 出品できない場合があります。
- 個人データの取扱い。 顧客データを日本に移す場合はDPDP法への対応を確認してください。
- 消費者保護(電子商取引)規則への対応。 原産国表示、返品・苦情窓口の表示などが求められます。
次にやること
- 販売主体(子会社か現地パートナーか)を進出形態の選び方で決める
- EC以外の販路も含めて販売チャネルと代理店選びで全体設計する
- GSTの基本でEC事業者による源泉徴収(TCS)を確認する
個別の判断は専門家(CA・弁護士・税理士)にご確認ください。
Questions on this topic
外資の子会社がインドで自社ECサイトやマーケットプレイスを運営できますか?
マーケットプレイス型のEC(売手と買手をつなぐだけのプラットフォーム)は外資100%まで自動ルートで認められています。一方、運営者自身が在庫を持って国内の消費者に販売する在庫型ECは、外資には認められていません。ただし2026年7月23日付のPress Note 3(2026)により、インドで製造・生産された商品を輸出する場合に限り在庫型が認められました(2026年9月3日施行、2026年10月時点)。単一ブランドの小売などは別の条件で認められるため、事業モデルに応じてFDI政策を確認してください。