インドの輸入通関とIEC:HSコード、関税(BCD・SWS・IGST)、日印CEPAの特恵税率、Bill of Entry
インドで輸入するために必要な輸出入者コード(IEC)の取得から、関税の計算の考え方、日印CEPAの特恵税率を使うための原産地証明、Bill of Entryの提出期限、通関業者と主要港までを整理します。貿易・物流担当向けです。
このガイドでわかること
- 輸出入者コード(Importer-Exporter Code:IEC)の取得と年次更新
- 関税の構成(基本関税BCD、社会福祉課徴金SWS、統合物品サービス税IGST)
- 日印包括的経済連携協定(日印CEPA)の特恵税率を使う手順と注意点
- 輸入申告書(Bill of Entry)の提出期限と通関業者の選び方
IECの取得と管理
- 申請:DGFTのサイトでPAN、事業所住所、銀行口座、代表者情報を入力し、オンラインで申請し、所定の手数料を支払います。書類に不備がなければ短期間で電子的に発行されます。
- 年次更新:DGFTの通達により、IEC保有者は毎年4〜6月に内容を確認・更新します。変更がなくても確認が必要です。更新は無料です。
- 無効化への対応:更新しないとIECが無効化され、通関が止まります。再有効化はオンライン更新で行います。
関税の考え方
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 課税価格 | CIF価格を基礎に関税評価規則で決定 |
| 基本関税(BCD) | HSコードごとの税率。CEPAなどで減免あり |
| 農業インフラ開発税(AIDC) | 一部品目のみ |
| 社会福祉課徴金(SWS) | 関税額の合計に対して10%。関税が免除で0なら課されない |
| IGST | 課税価格+関税の合計に対して課税。GST登録者は仕入税額控除の対象になり得る |
税率は毎年2月の予算(Finance Bill)で改定されます。2026年度予算でも一部の品目の税率と免除が見直されたため、取引前に最新の関税表と告示をICEGATEや通関業者経由で確認してください。
日印CEPAの特恵税率を使う
- 品目の特恵税率を確認する:CEPAの譲許表で、HSコードごとの特恵税率と段階的な引き下げを確認します。
- 原産地規則を満たすか確認する:関税分類変更基準や付加価値基準など、品目別の規則を満たす必要があります。
- 日本側で原産地証明を取得する:日本では日本商工会議所が第一種特定原産地証明書を発給します。
- インド側で請求する:Bill of Entryで特恵税率を請求し、輸入者が所定の申告(Form I)を行います。CAROTAR 2020は2025年3月の改正(Notification No. 14/2025-Customs (N.T.))で「原産地証明書」を「原産地の証明(proof of origin)」に置き換え、税関が追加資料を求めやすくなりました。輸入者は原産性を説明できる資料(部材表、工程表など)を供給者から入手しておく必要があります。
Bill of Entryと通関の流れ
- 事前提出:到着の30日前から提出できます。
- 期限:海上貨物は到着前日の終わりまで(バングラデシュ、モルディブ、ミャンマー、パキスタン、スリランカからの貨物は到着日の終わりまで)、航空貨物と陸路は到着日の終わりまで、内陸コンテナデポ(ICD)は到着前日の終わりまでです(CBIC通達08/2021)。
- 審査と納税:システムによるリスク判定で書類審査・現物検査の有無が決まり、ICEGATEで関税を電子納付します。
- 引取り:通関許可(Out of Charge)後に貨物を引き取ります。
通関業者(Customs Broker)は税関の免許を持つ業者から選びます。取扱港での実績、品目の経験、BISなど他法令の確認への対応力を比較してください。QCO対象品はBIS認証(QCO)が必要か調べるで事前に確認が必要です。
主要港
- 西部:ジャワハルラール・ネルー港(ムンバイ)、ムンドラ港、カンドラ港(グジャラート)
- 南部:チェンナイ港、カマラジャール港、クリシュナパトナム港、コチ港
- 東部:コルカタ港、ヴィシャカパトナム港
- 北部の内陸:デリー周辺のICD(トゥグラカバードなど)
よくある失敗・注意点
- IECの年次更新を忘れる。 担当者交代時に引き継ぎ漏れが起きやすい項目です。
- HSコードの分類を日本側の分類のまま使う。 インドの8桁分類で確認してください。
- 原産地の裏付け資料を用意していない。 特恵が否認されると、差額関税と利息を請求されることがあります。
- IGSTの控除をGST登録なしで想定する。 GSTの基本を確認してください。
次にやること
- 輸入予定品目のHSコード、税率、CEPA特恵税率の一覧を作る
- 通関業者2〜3社から見積りを取り、取引先の確認は取引先チェック総まとめを使う
- 拠点立地を検討中なら進出先の州の選び方で港との距離を比較する
個別の判断は専門家(CA・弁護士・税理士)にご確認ください。
このテーマのよくある質問
インドへの輸入を始めるには何が必要ですか?
まず外国貿易総局(DGFT)から輸出入者コード(IEC)を取得します。IECはPANに紐づき、取得後も毎年登録情報の更新が必要です。あわせて、品目分類(HSコード)、関税率、BISやFSSAIなどの認証要否を確認し、通関業者を選定してください。
日本からの輸入品に日印EPA(CEPA)の特恵関税は使えますか?
対象品目で原産地規則を満たす場合、日印包括的経済連携協定(CEPA)の特恵税率を適用できます。適用には特定原産地証明書が必要で、日本側では日本商工会議所が発給します。品目ごとの譲許税率と原産地規則を事前に確認してください。
BIS認証やQCOは自社製品に関係しますか?
品質管理令(QCO)の対象品目は、BIS認証を取得して表示しないとインドで製造・輸入・販売ができません。電子・IT製品は強制登録制度(CRS)の対象となる場合があります。対象品目は頻繁に追加・延期されるため、出荷前にBISの最新一覧で確認してください。